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2015-01-30 20:38    ルイヴィトンlouis vuitton財布
 思うところがあって、未《いま》だ見慣れないといっていい、その番号に電話をかけた。  とぅるるるが六回鳴った後、繋《つな》がったことにまず驚《おどろ》く。 「……あ、もしもし」「………………………………………」「えーと、お久しぶりです。顔を見せるなというので、声だけならいいんじゃないかと」「……相変わらず、屁理屈《ヘりくつ》好きなわけだ君は」「はい、飽《あ》きもせずねじ曲がってます。先月は義理チョコをどうも」「……チョコ。あ、そっか。もう三月で、こないだ二月でバレンタインデーがあったか」「……先生。今、凄《すご》いこと発言してるの気付いてます?」「家にずっと籠《こ》もってると日付の感覚がなくなるのよね。で、カカオ今からいる? ていうか、誰《だれ》からそんな贋作《がんさく》を貰《もら》ったの?」「えーっと、ジェロニモさんからですけど」「あー、超人《ちょうじん》と人間どっちよ? とにかくアタシは知らない。そのジェミニマンに会ったらアタシの名を騙《かた》ることに文句つけときなさい」「……はぁ。分かりました。ひょっとしてジェロニモさんって、いい人かも知れませんね」「何処《どこ》が。偽称《ぎしょう》罪で奈月《なつき》が逮捕《たいほ》すればいいのに。で、用事?」「はい。実は、先生の小話が聞きたくなりまして」「あのね、君。アタシの話を今まで何だと思ってたんだ。噺家扱《はなしかあつか》いされてるとは予想外すぎ」「いえ、ご高説でも説法でも何でもいいんです。ただ、偶《たま》にそういうの、耳に詰《つ》め込みたくなって」「ふぅん。でもあれだ、今日は少し楽しそうじゃない」「そうですか? やっぱりそういうの、滲《にじ》み出てますかね」「ん、何かあったの?」「実は今日、修学旅行の土産《みやげ》を貰《もら》いまして」「……君ら、はサボってたけど、同級生は確か秋に行ってなかった?」「そうですけど」「率直《そっちょく》に聞くけど阿呆《あほう》なの、その子」「いえいえ、照れ屋さんなので」「照れすぎて中身|腐《くさ》ってんじゃないの、それ。で、小話しろって?」「はい」「急に言われても、お題が……うぅん。じゃあ、決めつけるなで」「よ、待ってました」「例えば、君がモテないと決めつける」「何ですかその心を挾《えぐ》る前提」「例えばと言ってるでしょ。それに君は実際問題モテる、えーとジェトーリオくんだっけ。チョコ貰《もら》ったのよね」「……先生、薄々《うすうす》感じてましたけど、ファミコンに耽《ふけ》ってません?」「あ、分かるの?すげーね君。弟の部屋の段ボール箱から引っ張り出してやってみたんだけど、これがけっこう面白《おもしろ》いのよ。親指の皮|剥《む》けちゃった」「……他《ほか》にやることはないのですか」「あってもやる。で、何が言いたいかというと、君は頭が固い」「はあ」「誰《だれ》が勝てって言ったんだよ」「本当に誰も言ってませんが」「……ごめん、路線|変更《へんこう》していい?」「その行き当たりばったりに、先生を近くで感じました。どうぞ」「君は大人になるってどういうことだと捉《とら》えてる?」「人類の繁殖《はんしょく》のメカニズムを実体験するという崇高《すうこう》な理念で」「黙《だま》れ偽《にせ》エロ小僧《こぞう》。大人になるって、強さと弱さを両方成長させることだとアタシは考えてると渋《しぶ》く決めたいのに」「……」「人間は心を抱《かか》えてる所為《せい》か手荷物に融通《ゆうずう》が利《き》かなくて、不器用なの。そんな状態を維持《いじ》しながら、色んな物事に人は巻き込まれる。それに慣れたり体力がつけば、人は強くなる」「……」「でも当然、心を地面に落とす時だって、誰かの妨害《ぼうがい》で叩《たた》き落とされる時だってある」「……」「落下の状況《じょうきょう》によっては治らない傷や、端々《はしばし》が欠ける場合も、当然存在する」「……」「君は確かに傷の塊《かたまり》みたいな心になってるし、欠けた部分もたくさんある。それはもう仕方ない、諦《あきら》めて、受け入れなければいけない現実なの」「……はい」「それは何一つ否定しなくていい。卑下《ひげ》もいらない。ただ、御園《みその》みたいに突《つ》き抜《ぬ》けて、子供のままでいられないなら、いずれ大人にならないといけない」「はい」「怠惰《たいだ》におろそかになってる心を無理せず使い込んで、強さも少しは手に入れておきなさい。親指と十字キーに血が滲《にじ》む前に」「……反面教師の鏡ですね」「ん、今日は反論しないの?」「僕は今日から真人間になるつもりですので」「あはは、君らしい。いやー、くだらない嘘《うそ》が好きな子だ」「マユ少年ですからね、僕は」「あ、そうそう。御園は元気?」「きゅーきゅー言ったりきゃーきゃーしてます」「ふぅん。ま、君らが幸せならそれが最良に近いよ、何一つ保証しないけど」「断言したり日和見《ひよりみ》したりお忙《いそが》しいですね」「漫画《まんが》返しなさいよ」「三色刷になったやつでよろしければ」「じゃ、頑張《がんば》るんだよ」「ういっす」 「君はまだこれから大人になっていくんだから」  それは先生らしく、綺麗《きれい》な締《し》めだった。 「………………………………………」 「………………………………………」締まりきってないけど。 「せーの、で切りましょうか」 「よし、せー」ぶち。 「………………………………………」僕が切ったわけではない。これは仮説だが、親指の酷使《こくし》で筋肉が痙攣《けいれん》し、その影響《えいきょう》で通話を断つ形になったのではないだろうか。 「何だかなあ……」  強くなることを推奨《すいしょう》されたのは、今日が初めてだ。  そんな話を持ちかけられる程度には、成長の兆《きざ》しを認めたのだろうか。  そしてあの人の言葉を耳にして改めて感じる、天職の有無《うむ》。  先生はやはり、精神科医に向いていると素人《しろうと》ながら思う。  痛まない度合いで傷に触《ふ》れられる、坂下恋日《さかしたこいび》という人には、きっと。  今度は直《じか》にお会いして、就職の相談をお互《たが》いに持ちかけてみるべきか。  ……けどさ。