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2015-01-28 11:55    ルイヴィトンマルチカラー長財布
 十日の夜になった。何の変ったこともなかった。あるいは、匪《ひ》賊《ぞく》が酒保の倉庫を荒らしに来るかと思ったが、昨夜の火事で見切りをつけたのか、襲っては来なかった。ソ連軍来襲の噂も飛んだが、安陽にはその気配がなかった。飛来した爆撃機は、もしかして米軍機ではなかったか、と言い出す者もあったりしたが、いずれにしても、ここがすでに戦場であることは疑うべくもなかった。夕食時、一同は酒を酌み交わすことにした。ささやかな最後の宴であった。誰かが手拍子を取りながらうたい出した。「佐渡おけさ」だった。 佐渡へ佐渡へと 草木もなびくよ 佐渡はいよいか 住みよいか  他の声が加わった。 満州へ満州へと 草木もなびくよ 満州はいよいか 住みよいか 「ソ連がいなけりゃ住みよいよ」  誰かが叫んで、幾人かが笑い声を上げた。一人が「佐渡おけさ」で思い出したのか、寿《す》々《ず》木《き》米《よね》若《わか》の浪曲「佐渡情話」のさわりをうなった。みんなが手を叩いた。  ひとしきり軍歌がうたわれたあと、山田曹長が、 「おい、北森上等兵、ひとつ生徒に教えた唱歌でもうたわんか」  ろくに酒も飲まず、さっきからうつむきがちにしている竜太に山田曹長が言った。竜太はちょっと頭を掻いた。 「やれよ、北森上等兵。どんな声か聞かせてくれよ」  酒保に三年近くもいる竜太は、兵隊たちに親しまれていた。竜太は椅《い》子《す》から立ち上がって、 「では『荒城の月』をうたいます」  と一礼してからうたい出した。 春高楼の 花の宴 めぐる盃《さかずき》 かげさして …………