ボッテガ財布コ ピー
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null「怖くなってきたわ。まさか、これが、話に聞いている麻薬じゃないでしょうね?」  京子の顔が|蒼《あお》ざめた。 「冗談だろう。僕が、そんな物騒なものを手に入れることが出来る筈がない。これは大学の理科学教室からもらった清涼剤だよ」  朝倉は真剣な顔で言った。 「それなら安心だわ」  京子は笑った。カクテルのグラスをサイド・テーブルに置き、その|抽《ひき》|出《だ》しからクールの袋を出した。封を破り、ハッカ・タバコを一本抜く。  朝倉はカクテルを一気に飲んだ。ヘロインの包みを開く。 「このくらい?」  京子は尋ねながら、タバコの先を無色の結晶粉末のなかに浸した。  朝倉は、ダンヒルのガス・ライターでそれに火をつけてやった。煙を吸いこんで、|恍《こう》|惚《こつ》とした表情を浮かべた京子のガウンのポケットに、再び畳んだ麻薬の包みを入れた。  そのとき朝倉の鋭い耳は、続き部屋の玄関の|鍵《かぎ》|孔《あな》に鍵が差しこまれるかすかな音を聞いた。反射的に靴を脱いだ朝倉は、 「パパさんがやってきたらしい。僕が来たことをしゃべるなよ。それから、その薬のことも。早く僕のグラスを片付けるんだ」  と京子の耳に早口に|囁《ささや》き、両方の靴を左手に提げて、横の六畳の和室に体を移した。  音のしないようにドアを閉じる。     18 豪 邸  続き部屋の、玄関のドアが開く音が聞こえた。六畳の和室に移った朝倉哲也は、その奥の四畳半にもぐりこんだ。